政経研究会・えん
えんアーカイブ
政経研究会・えんは、当塾の他の会と同じく、どなたでも自由に参加できます。
この会は、次のスタイルを基本とします。
日本経済から国際政治まで、政治経済関係の著作を中心にテキストを決め、テキストについてレポーターに発表してもらいながら、参加者全員で話し合いを進めていきます。
なるべくタイムリーなテーマを取り上げますが、時に臨んで政治経済にかかわる歴史を扱うこともあります。
前回(7月21日)はベンジャミン・クリッツァー『21世紀の道徳 学問、功利主義、
ジェンダー、幸福を考える』(晶文社)をとりあげて、新たな視角から倫理問題(「正しさ」とは何か)を考える会になりました。レポーターの汲田さんからいただいた案内文を下に掲げます。
【引用開始】
森本あんりさんの読売新聞の書評欄で、この本に出会った。著者は京都生まれのアメリカ人。日本語で書かれたブログをもとにした著書である。平明な議論を追っていくと、突飛な「常識はずれの」結論、「わたしたちは牛や鶏などの家畜に対して、人間対するのと同じくらいの配慮をするべきである。」と主張したり、逆に「何かの目標を定めてがんばっているひとのほうが、そうでない人よりも幸福になりやすい。」などと普通のひとびとにとっては「常識どおりであり」当たり前としか思われない主張を、わざわざ力説したりしている。
本の帯によると『倫理学、哲学と進化論から導かれる”良き生き方”。「学問の意義」「功利主義」「ジェンダー論」「幸福論」の4つのカテゴリーで語る、あたらしい道徳論。』ということになる。
本書の「まえがき」から引用すると、『哲学といえば「答えの出ない問いに悩み続けることだ」と言われることもある。だが、わたしはそうは思わない。悩み続けることなんて学問ではないし、答えを出せない思考なんて 意味がない。哲学的思考とは、わたしたちを悩ませる物事についてなんらかのかたちで正解を出すことのできる考え方なのだ(中略)倫理学のおもしろさ、そして心理学をはじめとする様々な学問の面白さをひとりでも多くの読者に伝えることが、この本の最大の目的である。』
「21世紀の道徳」と大風呂敷を広げているわけではない。考える事とはどういうことか、これまでの思想にとらわれずに、自分の実感を信じて思考する著者の姿勢は、十分刺激的であり、また挑戦的でもある。
【引用終わり】
私(由紀草一)の感想を申し上げます。この著者は、「働くことや恋愛(異性愛)は人生で大切だ、というよな、わりあいと成熟した、常識的な意見も述べるのですが、何しろ基本的な姿勢は、人生や人間社会で倫理(何が正しいか)についてはっきりした「正解」を出そうとして、一つの評価軸をゴリ押しするという、左派に多い(この人は左派ではありませんが)弊害に陥っています。ある意味専門らしき「動物倫理」なるものにそれが典型的に現れています。不完全な人間が造る世の中は、具体的な場面に応じた「だいたいこんなものか」で止まるしか、最悪を避ける路は内のだ、と、改めて思い知らされた会になりました。
場 所 : ルノアール飯田橋西口店会議室
東京都千代田区富士見2-2-6 今井ビル2F
℡ : 03-5226-6345
飯田橋駅西口より徒歩3分。早稲田通りを左手へ直進、
2つ目の交差点を渡り左手のファミリーマートの上
(下の地図参照)
5. 会 費 : 1,600円(当日徴収)
連絡先:由紀草一 luna2156@mtf.biglobe.ne.jp